今回はそれぞれの脂肪酸が手作り石鹸においてどんな役割をしているのかを見ていきたいと思います!
先日の飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸についてをご覧いただいてから下記の内容を見ていいただいた方がスッと入ってくると思いますのでまだご覧になっていない方は是非先にご覧ください!
(click→【飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸】2つの脂肪酸!酸化が早いのはどっち?)
目次
オレイン酸やラウリン酸の石けんでの役目とは?泡を立たせる酸とは?:①飽和脂肪酸
まずは手作り石鹸を作るうえで出てくる飽和脂肪酸に分類される脂肪酸をみていきます!
・ラウリン酸 ・ミリスチン酸 ・パルミチン酸 ・ステアリン酸になります。
それではそれぞれどんな働きの脂肪酸になるのでしょうか。早速見ていきたいと思います!
ラウリン酸【皮膚への刺激が強い】
化学式【C11H23COOH】融点【44.2度】
特徴:《泡立ち》良くして《硬さ》を出す。《水》でも良く泡立つのが特徴。
表題にあるように肌の弱い方ですと刺激を感じる恐れがある脂肪酸です。
ただし通常手作り石鹸で使用する場合全体量の30%前後ですのでそんなに問題はないかと思いますが肌の状態などにより感じる方も若干いらっしゃるようです。
(50%以上すると刺激を感じるようです)
さらに泡の持続性が悪いのがラウリン酸の特徴です。
ミリスチン酸【泡の安定性・気泡力】
化学式【C13H27COOH】融点【53.9度】
特徴:《きめ細かい泡立ち》《泡の持続性》が最も良い!
《温水》での使用が最も泡立つ脂肪酸です!
パルミチン酸【硬さを出す】
化学式【C15H31COOH】融点【63.1度】
特徴:石けんに《硬さ》を与え《溶け崩れを防ぐ》脂肪酸。泡立ちは悪いものの泡の持続性をよくする。
冷水での洗浄力が悪いのも特徴です。
ステアリン酸【硬さを出す】
化学式【C17 H35COOH】融点【69.6度】
特徴:パルミチン酸と同じような働きですが、《硬さ》を出し《溶け崩れを防ぐ》脂肪酸。
泡立ちが悪いもののステアリン酸も泡の持続性には効果を発揮します。
さらにパルミチン酸以上に冷水での洗浄力が劣るのがステアリン酸です。
オレイン酸やラウリン酸の石けんでの役目とは?泡を立たせる酸とは?:②不飽和脂肪酸
次に不飽和脂肪酸に分類される手作り石鹸でしようする脂肪酸を見ていきましょう!
パルミトレイン酸【肌なじみ良い】
化学式【C15H29COOH】融点【-0.5度】
もともと人の肌に10%以上含まれている脂肪酸ですので肌なじみの良い石鹸に仕上がります。
石鹸では気泡力・持続性に力を発揮します。
オレイン酸【繊細な泡立ち】【酸化安定性が良い!】
化学式【C17H33COOH】融点【13.4度】
特徴:気泡力・泡の持続性が良く、尚且つ泡が繊細でマイルドな使用感になる脂肪酸。
不飽和脂肪酸の中では酸化安定性に優れた脂肪酸です。
ただし石けんとして使用した場合、溶け崩れしやすいのが難点です。
リノール酸【サッパリとした洗いあがり】
化学式【C17H31COOH】融点【-5.2度】
特徴:やわらかい石鹸となり非常に溶け崩れしやすい。気泡力がよく使用感はさっぱりとする。
ただし非常に酸化安定性に欠ける為配合量には注意が必要な脂肪酸の一つです。
リシノール酸【泡立ちが良い!】
化学式【C17H32(OH)COOH】融点【-10度】
特徴:保湿の効果が高いため、泡の持続性がよくやわらかくて大きな泡が特徴となる脂肪酸。
リノレン酸【酸化安定性が悪い!】
化学式【C17H29COOH】融点【-11.3度】
特徴:どの脂肪酸よりも酸化安定性が悪いです。配合量には特に注意が必要です。
やわらかい石鹸にはなりますが気泡力は良い。リノール酸同様に使用感はさっぱりです。
オレイン酸やラウリン酸の石けんでの役目とは?泡を立たせる酸とは?:植物油脂の脂肪酸組成とは?
さて、それぞれの脂肪酸がどんな働きをするかご覧いただけましたか?次にどのオイルにどんな脂肪酸が含まれているかを見ていきたいと思います!
飽和脂肪酸の脂肪酸組成
油脂名/脂肪酸名 | ラウリン酸 | ミリスチン酸 | パルミチン酸 | ステアリン酸 |
ココナッツ オイル |
47.7 | 19 | 9.7 | 3.2 |
パーム オイル |
0.3 | 1.0 | 44.6 | 4.3 |
米油(ライス ブランオイル) |
0.3 | 16.5 | 1.9 | |
オリーブ オイル |
7~15 | 1~3 | ||
アボカド オイル |
12~16 | 5 | ||
椿油(カメリア オイル) |
7.5 | 2.1 | ||
スイート アーモンド油 |
6.5 | |||
マカデミア ナッツ油 |
7.8 | 5 | ||
ヘーゼル ナッツ油 |
2.7 | 0.6 | ||
ひまし油(カスターオイル) | 1 | 1 |
*参考:カネダ株式会社、camicai-naviなど
不飽和脂肪酸の脂肪酸組成
油脂名/脂肪酸名 | パルミ トレイン酸 |
オレイン酸 | リノール酸 | リノレン酸 | リシ ノール酸 |
ココナッツ オイル |
7.1 | 1.7 | |||
パーム オイル |
0.2 | 39.4 | 9.4 | 0.1 | |
米油(ライス ブランオイル) |
43.6 | 34.3 | 1.3 | ||
オリーブ オイル |
1~3 | 70~85 | 4~12 | 0~1 | |
アボカド オイル |
6.3 | 66~90 | 8~11 | 2 | |
椿油(カメリア オイル) |
0.1 | 86.5 | 3.8 | 0.1 | |
スイート アーモンド油 |
65.5 | 25.7 | |||
マカデミア ナッツ油 |
24.6 | 57 | 2.1 | ||
ヘーゼル ナッツ油 |
27.1 | 43.5 | 9.2 | ||
ひまし油(カスターオイル) | 4 | 4 | 1 | 87.2~ 89.6 |
*参考:カネダ株式会社、camicai-naviなど
オレイン酸やラウリン酸の石けんでの役目とは?泡を立たせる酸とは?:まとめ
さて、脂肪酸の役目を簡単にまとめてみました!オリジナルレシピで作る際の一つの目安になります。
脂肪酸組成の数値が大きければ大きいほどその脂肪酸の特徴が大きくかかわるオイルになります。
ただしオリーブオイル(植物油脂)などには上記脂肪酸組成の他に不鹸化物というのが入っており、その不鹸化物の影響でいろいろ使用感に変化が出ます。
ですので脂肪酸組成表の数値は目安として使用します。
一番は色々なオイルのレシピを考えて作って自分で使用して試してみるのが一番になりますが、脂肪酸組成を完全に無視したレシピでは溶け崩れしやすかったり酸化しやすかったりしますので目安としてレシピを考えるときには横においていつでも見られるようにしておくのがいいですよ♪
今回もお読みいただきましてありがとうございました!