手作り石鹸作りにおいて知っておくと便利なオイルの特徴についてみていきます。
オイル(植物油脂)といってもオリーブオイルやこめ油などさまざまなオイルがあります。どのオイルを使用しても石鹸にはなりますが面白いことに使用感や作っているときの変化のスピード(化学反応)、石鹸になったあとの酸化のスピードが違います。
せっかくいいオイルを使用したのにすぐに酸化してしまったら悲しいですよね。
作る前にオイル(植物油脂)ごとの性質がわかっていれば酸化しにくい配合で石鹸を作れます。
今回は手作り石鹸作りに外せない【油脂の概要】と【2つの脂肪酸(飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸)】についてみていきたいと思います!
目次
【飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸】2つの脂肪酸!酸化が早いのはどっち?:油脂について
まず脂肪酸は油脂に含まれる成分になり、簡単に言うとその脂肪酸の種類などによりオリーブオイルだったり米油だったりという名前のオイルに分かれるという事です。
油脂とは?トリグリセリドとは?
油脂とは・・・植物性油脂・動物性油脂があり【トリグリセリド】を主成分としたものです。
油脂には常温で液体のものと固体のものがあります。
【油】が常温で液体
【脂】が常温で固体
のものを基本的にはさします。
トリグリセリドとは・・・【グリセリン】と【3つの脂肪酸】が結びついたものをいいます。
植物性油脂とは?常温で液体の【油】
オリーブオイルやこめ油、スイートアーモンド油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ひまし油、ひまわり油、椿油 などになり不飽和脂肪酸が多く含まる油が多い。
植物性油脂とは?常温で個体の【脂】
ラードや牛脂などにあり飽和脂肪酸が多く含まれる脂が多い。
では次に本題の飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸についてみていましょう!
【飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸】2つの脂肪酸!酸化が早いのはどっち?:脂肪酸について
飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸、そして脂肪酸という言葉は聞いたことがあるかと思います。
3つとも違うものなの?と思ってしまう方もいるかと思いますが、【脂肪酸】というくくりの中に【飽和脂肪酸】と【不飽和脂肪酸】の二つがあります。
それぞれ特徴がありますので脂肪酸ごとの特徴を知ることで手作り石鹸を作る際の配合の目安がわかるようになりますがまずは大きなくくりの脂肪酸についてみていきましょう!
脂肪酸とは?《3つの原子で構成!》
植物性油脂や動物性油脂・ロウの主要構成成分です。
3つの原子:炭素【C】と水素【H】と酸素【O】から構成
さらに【COOH】というカルボキシル基を持っているのが特徴!
炭素数の数が【11】以上のものを【高級脂肪酸】と呼びます。
石鹸作りで使用する植物油に含まれる脂肪酸は高級脂肪酸のものが多くあります。
【飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸】2つの脂肪酸!酸化が早いのはどっち?:飽和脂肪酸について
さて脂肪酸の構成がわかったかと思いますので次に飽和脂肪酸についてを見ていきたいと思います!
飽和脂肪酸とは?《酸化安定性&融点が高い!》
飽和脂肪酸とは、酸化安定性が良く融点が高いものが多いのが特徴です。
炭素と炭素などとのつながりに二重結合をもたないことが酸化安定性を良くしています。
炭素(C)というのは・・・4本の手を持っていて通常は1本の手に1本の手をつなぎます。
この繋がりだけで構成された脂肪酸が《飽和脂肪酸》になります。
(①②③④はオイルの種類により異なり炭素、水素、酸素等が当てはまります。)
SS S①sssss①
SS S↑sssss↑
②←炭素 ↔ 炭素→②・・・・+【カルボキシル基(COOH)】
SS S↓sssss↓
SS S④sssss④
飽和脂肪酸の代表的な脂肪酸
カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸など
ココナッツオイルやパームオイル、パーム核油に多く含まれています!
【飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸】2つの脂肪酸!酸化が早いのはどっち?:不飽和脂肪酸について
さて次に不飽和脂肪酸とはどんな特徴の脂肪酸になるのかを見ていきたいと思いますが、不飽和脂肪酸にはさらに分類出来て【一価不飽和脂肪酸】【多価不飽和脂肪酸】があります!
不飽和脂肪酸の概要とそれぞれの不飽和脂肪酸についても見ていきたいと思います!
不飽和脂肪酸とは?《酸化安定性&融点が低い!》
不飽和脂肪酸は飽和脂肪酸に比べると酸化安定性に劣ってしまいます。基本は常温で液状のものが多いのも特徴です。
不飽和脂肪酸は炭素と炭素などとの繋がりのどこかに二重結合があります。
二重結合の数と位置により性質が異なってきます。
一価不飽和脂肪酸《オレイン酸・パルミトレイン酸・リシノール酸》
手作り石鹸で使用するオイルに含まれている代表的な一価不飽和脂肪酸は《オレイン酸(炭素数18個)》《パルミトレ酸(炭素数16個)》 《リシノール酸(炭素数18個)》になります。
二重結合が1つあるものが一価不飽和脂肪酸と呼ばれています。
(⇒二重結合を表します)
(①②③はオイルの種類により異なり水素、酸素等が当てはまります。)
SS S ①sssssS①
SS Ι ↑SssssS ↑
②一 炭素 ↔ 炭素 ⇒ ②《リピート…》+【カルボキシル基(COOH)】
SS S↓sssss
SS S③sssss
炭素は4本の手しかないので二重結合が1つあると1つのところで二本手が必要となるイメージです。
ですので3人としか手を繋げなくなりますよね。
だからバランスが崩れるので酸化安定性にかけると思っていただくとわかりやすくなるかと思います。
多価不飽和脂肪酸《リノール酸・リノレン酸など》
次に二重結合を2つ以上持つものを多価不飽和脂肪酸といいます。
手作り石鹸で使用するオイルに含まれているものは
《リノール酸》《リノレン酸(αーリノレン酸)(γーリノレン酸)》《アラキドン酸》になります。
2重結合【2個】《リノール酸》【炭素数18個】
(⇔二重結合を表します))
SS S①sss①Sss①Ss ①Sss①
SS S↑sss↑ss ↑ss ↑ss↑
②←炭素 ↔ 炭素 ⇔ 炭素 →炭素⇔炭素→②《リピート…》+【カルボキシル基(COOH)】
SS S↓sssss
SS S③sssss
2重結合【3個】《リノレン酸》《γーリノレン酸》【炭素数18個】
2重結合【4個】《アラキドン酸》【炭素数18個】
2重結合が多いほど酸化安定性が悪く、尚且つ融点が低くなります!
不飽和脂肪酸の代表的なオイル
不飽和脂肪酸に分類される手作り石鹸作りにおいてよく使われるオイルは・・・
アボカドオイルなどには60%以上含まれている。
《パルミトレ酸》マカデミアナッツオイル、ヘーゼルナッツオイルなど
《リシノール酸》ひまし油
アボカドオイル、グレープシード油など
《リノレン酸》《アラキドン酸》小麦胚芽油、月見草油
*アラキドン酸は魚肉や卵などにも含まれている脂肪酸です。
【飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸】2つの脂肪酸!酸化が早いのはどっち?:まとめ
さて、今回は手作り石鹸を作るうえで必要となる植物油脂などに含まれる脂肪酸についてまとめてみました。
なかなか初めは脂肪酸を考えて手作り石鹸のレシピをオリジナルで作るというのは難しかったりします。
こういった脂肪酸があるんだという事を頭の片隅にまずは入れておき、初めは自分の好きなオイルを使って作っていけばよいかと思います。
失敗こそ次に役立ちますし自分で使う分にはどんな配合でもまずは作ってみることです!(ある程度の基本のオイルの割合はありますが・・・またそのこともおいおい触れていきます!)
誰にあげるわけでも売るわけでもないので思う存分好きのいるの配合で作ってみて楽しんでください!
そうこうしているうちに自然とこのオイルは酸化が早いとかまったくトレースが出ないとかわかってきます。
そうするとそこで脂肪酸というものをもう一度きちんと勉強してみようと!思い始めます。
そうしたらそこで新たにもう一度脂肪酸について復習すればいいだけです!
ですので、まずオイルというものは脂肪酸とグリセリンからなるものが主成分だということだけ頭に入れて石けん作りを楽しんでみてください!
今回も最後までお読みいただきましてありがとうございました!