さて、前回は手作り石鹸を作る際に必要なアルカリ(苛性ソーダ)の計算など説明をいたしました。
実はアルカリ(苛性ソーダ)の計算方法は前回のやり方以外にもあります。
結果は同じなんですが【苛性ソーダ換算値】という数字をもとに計算する方法でこちらの方が計算の項数が少ないので初めての場合は計算しやすいかなと思います。
ですが、基本は前回の計算方法になりますので、まだご覧になっていない方は合わせてご確認くださいね。(→★★★)
目次
【手作り石鹸】アルカリ(ph)計算方法②とけん化価一覧!:手作り石鹸における苛性ソーダ換算値とは?
苛性ソーダ換算値とは、鹸化価の数字から導き出していくものです。
例えばココナッツオイルにおける鹸化価の数値は【258】です。
こちらの数値から導き出していきます。
*鹸化価の数値は・・・油脂1000gにおてい鹸化していくのに必要なアルカリ《苛性カリ(水酸化カリウム)》の比率のことでしたね!
が、実は前回の基本式にすでにこの苛性ソーダ換算値を導き出す計算式が出ていたんですよ!
《オイルの分量》×《鹸化価》×《0.713》÷1000=苛性ソーダの分量(g)
でしたよね!
はい!そうです。
《鹸化価》×《0.713》÷1000という数式がまさにこの苛性ソーダ換算値を求める数式になります!
手作り石けんでは1000g単位で作ることはしないので、1g単位での使用量を求めるために《÷1000》という数式になっております。
この数式を覚えておけば、苛性ソーダ換算値の記載がされていないオイルでも自分で換算値を導き出すことができます。
でも、すでに苛性ソーダ換算値というものが販売サイトとかに記載されているのにこれ覚えておく必要があるの?と思いますよね。
まぁ、正直・・・固形の手作り石鹸作成時にはそこまで厳密な数値を求めなくてもいいので今はあまり必要ないかもしれません。
ただ、どうやって導き出しているのかを知っておくと何かの時に役立つかと思いますので必要になったらこのページを見てくださいね!
【手作り石鹸】アルカリ(ph)計算方法②とけん化価一覧!:苛性ソーダ計算!《苛性ソーダ換算値使用》
さぁ、苛性ソーダ換算値の出し方がわかったら苛性ソーダ換算値を使った計算方法をみていきましょう!
苛性ソーダ換算値は手作り石鹸専門の材料や道具が売られている通販サイトではオイルのページの詳細をみると書かれていたりします。
今回もマルセイユ石鹸のレシピにおいて計算していきます。
《オイルの分量》×《苛性ソーダ換算値(鹸化価×0.713÷1000)》=苛性ソーダの分量g)
250gバッチのマルセイユ石鹸の使用オイルは
オリーブオイル(72%)180g
ココナッツオイル(18%)45g
パームオイル(10%)25g
基本式②《苛性ソーダ換算値使用》
【オリーブオイル】180×0.136=24.48
【ココナッツオイル】45×0.184=8.28
【パームオイル】25×0.145=3.625
今回もそれぞれ小数点第一を四捨五入しますので(小数点第2位以下は切り捨て)
オリーブオイル【24】
ココナッツオイル【8】
パームオイル【4】
となり全部を足すと24+8+4=【36】となります。
こちらの場合もやはりディスカウントした値で苛性ソーダを加えますので
(ディスカウントについては前回の→コールドプロセス製法の手作り石鹸の鹸化価とアルカリの計算方法)
ディスカウント10%(鹸化率90%)で作成する場合は前回同様に
36g×0.9(鹸化率90%)=32.4となり小数点第一位を四捨五入しますので
【32g】必要という事になります。
基本式①との計算結果はもちろん同じになります!
実際はメーカーなどにより同じオリーブオイルでも苛性ソーダ換算値が違っていたりもするんですが、コールドプロセス製法の石けん作りの際はおよその数値で計算してつくっても問題ないんです。
なぜならあえて石鹸にしないで5%~15%ディスカウントをして石鹸をつくっていきますよね。
それにそれぞれのオイルでは鹸化価の数値の範囲が定められています。ですので一般的に出ている標準の苛性ソーダ換算値の数字で計算すれば過剰にアルカリ(苛性ソーダ)をいれることなく問題なくできるんです。
では次に、手作り石けんでよく使用するオイルの鹸化価と苛性ソーダ換算値を見ていきましょう!
【手作り石鹸】アルカリ(ph)計算方法②とけん化価一覧!:手作り石鹸で主に使用するオイルの鹸化価と苛性ソーダ換算値
コールドプロセス製法の手作り石鹸でよく使用されるオイルとバターの鹸化価と苛性ソーダ換算値を見ていきましょう!
オイル名 | 鹸化価 | 鹸化価標準値 | 鹸化価標準値に対する苛性ソーダ換算値(g) |
オリーブオイル | 184~196 | 191 | 0.136 |
ココナッツオイル | 248~264 | 258 | 0.184 |
パームオイル | 194~209 | 203 | 0.145 |
パーム核油 (パームカーネルオイル) |
230~254 | 249 | 0.178 |
こめ油 | 180~195 | 188 | 0.134 |
ごま油 | 184~193 | 191 | 0.136 |
アボカドオイル | 180~200 | 193 | 0.137 |
スイートアーモンドオイル | 194 | 0.138 | |
マカデミアナッツオイル | 190~200 | 195 | 0.139 |
ヘーゼルナッツオイル | 188 | 0.134 | |
ひまし油 | 176~187 | 180.5 | 0.129 |
椿油(カメリアオイル) | 189~194 | 193 | 0.138 |
ココアバター | 190~200 | 192 | 0.137 |
シアバター | 178 | 0.126 |
(上記の鹸化価の数値は標準的なものになります。販売サイトにより多少の前後があります。)
上記を見ていただくとわかるかと思いますが、鹸化価の数値の範囲ありますよね。ですので実は毎回鹸化価の数値はほぼ変わっているんです。
同じメーカーであってもロットごとに本来は違っているのですが、先ほども言ったように手作り石鹸ではディスカウントしてつくるので、鹸化価標準値をもとに導き出した苛性ソーダ換算値を使用すれば問題なく肌に優しい石鹸が出来上がりますので上記をもとに計算してみてください!
【手作り石鹸】アルカリ(ph)計算方法②とけん化価一覧!:アルカリ(苛性ソーダ)計算方法のまとめ
2回にわたり説明しました苛性ソーダの計算方法を簡単に総まとめしていきましょう!
《オイルの分量》×《鹸化価》×《0.713》÷1000=苛性ソーダの分量(g)
《オイルの分量》×《苛性ソーダ換算値(鹸化価×0.713÷1000)》=苛性ソーダの分量g)
計算方法①《鹸化価》×《0.713》÷1000が【苛性ソーダ換算値】を求める式でしたね!
苛性ソーダの分量(g)は小数点第2位以下を切り捨てて、小数点第一位を四捨五入した数値を出しておくんでしたね!
上記はオイル全量を石鹸にするのに必要な分量なので次にディスカウントしていきましたね!ディスカウント10%(鹸化率90%)の場合・・・
《苛性ソーダの分量g》×0.9=必要な苛性ソーダの分量(g)
初めは計算が大変に感じるかもしれませんが、慣れてしまうと数分で出来るようになりますので、あえて初めのうちは自分で計算する癖をつけた方がいいかなと思います。
(初めは合っているか不安だと思いますので、自動のアルカリ計算機で答え合わせをしてみるのがお勧めです!)
さぁ。いよいよ次回は石けん作りの手順を説明していきます。
本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました!